ハローワークとは公共職業安定所の愛称であり、厚生労働省設置法第23条に基づいて設置されている行政機関です。ハローワークという愛称は公募によって決められたもので1990年より使用を開始されたものです。

ハローワークで行われているのは求職者向けサービスと、事業主向けサービスの両方があります。求職者向けサービスは求職申込み、職業相談、職業紹介など求職手続きや、雇用保険手続きなどとなっており、雇用保険手続きは失業等給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付等各種を取り扱います。又その他のサービスとして、就職に関する情報提供や、就職に必要な資格のための職業訓練コース等の情報提供も行います。

一方、事業主向けサービスとしては求人申込み、応募者紹介など人材の紹介、雇用保険被保険者資格の取得喪失手続き、助成金や給付金の支給、雇用管理サービスなどとなっており、更にはその他のサービスとして労働市場、労働条件などの情報提供も行っています。

ハローワークの扱う求人は、正社員求人、パート求人、臨時雇用求人まで全ての雇用形態を網羅しているもので、原則として人口20万人以上の都市にあるハローワークは、平日の8時30分から19時までの業務で、土曜日でも10時から17時までやっています。最近は景気後退による失業率の増加で、どこの地区のハローワークも混雑しているようです。

東京地区は人口も集中しているため、ハローワークについても多くの地域に設置されています。特に23区内では14カ所にも及び、文京区、台東区、港区六本木、港区港南、大田区、渋谷区、新宿区歌舞伎町、新宿区西新宿、豊島区東池袋、豊島区サンシャイン60、北区、足立区、墨田区、江東区にそれぞれ配置して対応をしています。23区以外では八王子市、立川市、青梅市、三鷹市、町田市、府中市にあり都下の各市をフォローする体制です。又、これらハローワークだけでは対応しきれていない実情を踏まえて、「地域の職業相談窓口」についても各所に設置しています。

これらはワークプラザという名称などで呼ばれているもので、目黒区、大田区蒲田、板橋区、練馬区、北区、足立区、葛飾区、江戸川区など23区でもハローワークとは別の地域に配置されており、都下では、日野市、東大和市、小平市、あきる野市、西東京市、東久留米市、調布市、多摩市、西多摩郡瑞穂町など、極力近くでまず相談できるように配慮がなされています。

又、現在失業中の労働者だけではなく、最近は新卒者の就職状況も大変厳しいため別途港区六本木にある「学生職業総合支援センター」では、大学等の学生を主とした２０才代の既卒者の就職相談の集中的対応をしています。

さて、実際にハローワークに行って職業を探すことになったら、設置されたパソコンで、東京都内及び近県のハローワークの求人約１０万の案件を検索して応募していくのもいいでしょう。又、東京のハローワークだけの機能ではありませんが、総合的雇用情報システムというものもあり、日本全国の何処のハローワークからでも、オンライン機能を活用して、他のハローワークで受理している求人求職情報を閲覧する事も可能となっています。

例えば、東京のハローワークから、北海道のハローワークで受理した求人求職情報を検索、閲覧するといった事ができるわけで、実際、職のあてもなく故郷に戻ることなどできませんから、東京から実家に帰省して就職しようと考えている人には大変役立つものです。

又、子供のいる女性の就職活動については専用の「マザーズハローワーク東京」という施設が渋谷区にあります。ここで小さい子供と一緒でも利用しやすいようにベビーチェアやキッズコーナーも用意しています。子育てと仕事の両立を目指す人に適合するような、残業がない土日祝日が休みの求人などを中心に提供し、再就職を支援します。同時に保育施設情報や子育て支援情報も提供しています。育児だけではなく介護との両立を目指す人も対象となります。

オンラインネットを活用した求職情報は大変便利な機能ですが、初めにハローワークを訪れた際は、まず「職業相談」のコーナーがありますので、ここで面談を受けるのがいいと思います。これは専門の相談スタッフとの面談方式となっており、応募状況の確認もしてもらえますし、何よりそれぞれのキャリアによって変わるであろう交渉方法についてのアドバイスを受けられるのがいい点です。

東京地区のハローワークでは、通常のサービスに加えて各地での就職面接会や職業相談会も随時開催していますから、ハローワーク東京のサイトはまめにチェックし、開催スケジュールを把握しておくといいでしょう。１回ですんなり就職が決まるわけではありませんので、これらには積極的に参加して情報を得ることも大切です。

比較的若年の方で、フリーター生活から抜け出せないワーキングプアに落ち込んでいる人は「ヤングワークプラザしぶや」のイベントに参加することをお勧めします。適性検査セミナーや個別のカウンセリングを行っているので、現在の状況を打破するのに必ず役立つはずです。又、通常のハローワークでも若年者相談コーナーがあり35才未満の人の就職活動を応援しています。ここでも書類選考を突破するための応募書類の作り方のアドバイスや本番を想定した面接トレーニングなどのメニューがるので、取り組んだだけ実力が養成されると思います。
他にも外国人労働者のための東京外国人雇用サービスセンターや、キャリアアップのための東京キャリアアップハローワークもあります。

この東京地区のハローワーク機能は東京労働局が一括して管理運営しているものですが、求職活動に集中していると気がつかないかもしれない、様々な労働条件についてのインフォメーションが、この東京労働局の公式サイトには掲載されています。項目としては、賃金制度、労働条件の明示、賃金の支払方法、労働時間、休憩時間、休日、時間外・休日及び深夜の割増賃金、有給休暇、健康診断、性別により差別されることなく働くための取り決め、セクシュアルハラスメントに関する取り決め、働きながら安心して妊娠、出産するための取り決め、育児・介護と仕事を両立させるための取り決めなどいろいろわかりやすく説明してあります。

現在、職がなくて非常にあせっている状態の時は、労働条件の詳細を気にするどころではなくて、判断も狭義的になっているものです。例えば、残業については、時間外と深夜（午後10時～午前5時）に労働させた場合には2割5分以上、法定休日に労働させた場合には3割5分以上の割増賃金を支払わなければならない法令があります。休憩についても、使用者は労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩を与える決まりがあります。更に休憩時間については「労働時間の途中に与える」、「自由に利用させる」、「一斉に与える」という3つの原則もあります。こうした事を知っているのと知らないのでは就職した後でも大きな差が生じますから、基本的な労働法について、このサイトを利用して知っておいて損はないと思います。